タカラモノ~桜色の片道切符~

明け方に飲ませたときは最後体が受け付けなかったことが心配で、声をかけると、返事の代わりというか支える腕に掛かる重みがました。


重いとは絶対に言えない重みだけれど


「なら良いよ。おやすみ。魘されたら起こしてやるから」



目を閉じた美桜の体から力が抜けていくのを確認し、両手で起こさないようにベッドに寝かせると布団を掛け直した



リビングに出ると、発信履歴の1番上の番号に電話を掛ける



「もしもし」



「すいません。理桜です。今日って」


美桜を病院に連れていかないといけないが、眠ったばかりの美桜を起こすのは躊躇われた



「俺自体は本来休みだからいつでも良い。出る前に連絡くれれば準備しておくから。着いてからも連絡くれれば、駐車場に行くし」



「はい」



「彼女抱えて正面からはキツイだろ?裏口案内するから」



何もかもお見通しという訳か。やはりオーナーの悪友というだけはある



「わかりました」



電話を切ると寝室に戻り、美桜の様子を確かめる。


先刻と変わらず少し荒い寝息をたてていた。


どこか寝苦しそうな様子に理央は思わず顔を顰めた。



美桜の今の状態は罅割れたガラスのようで、触れ方を間違えれば簡単に砕け散ってしまう