タカラモノ~桜色の片道切符~

「全部飲んで」


飲みきれなかった一筋が美桜の口元から零れ落ち、首筋を伝った



水を飲むのがこんなに辛いとは思わなかった。


「全部飲んで」



そう言われたけれど、最後の方は体が拒否して口元から零れ落ちた



『ごめんなさい』


言いたいのに声にならない



「良いから。吐き気はない?」



辛そうな顔の理央くんを見ていると苦しくなる。



消耗した体を叱咤して、本当に小さく頷きを返すと彼の胸に体重を預けた。




もう起き上がっていることさえも苦痛だった