タカラモノ~桜色の片道切符~

一度眠るとそう目が覚める方ではないのに、ふわりと意識が浮上した。



サイドテーブルの時計を見上げると、時刻は午前2時。腕の中の美桜を見ると、薄っすらと汗をかき、魘されているようだ。



「美桜」



寝かせておいてやりたいが、魘されている状態が気になる。先刻と同じように頬を軽く叩き、覚醒を促した




真っ赤に染まって倒れる男性に、お母さんが倒れたときがクロスする



全部、私のせい。彼が……



私が悪いの。アノヒトは?



何かに掬いあげられるように意識が浮上する。



瞳に映ったのは心配そうな彼



優しくしないで。私が悪いの。



だから私は頑張らなきゃいけないの。私が頑張ればみんな……



「頑張らなくて良い。これ以上頑張らなくて良いから」



落ち着いていた涙がまた止まらなくなった。優しくしないで



「美桜は悪くない」「頑張らなくて良い」



何度も同じ言葉を繰り返しながら、繋いでいた手を離し、しっかりと抱きしめ直す。



時折涙を拭いながら、髪を撫で続けた



「美桜のせいじゃない」



時間も忘れて、ただ抱きしめ続けた