タカラモノ~桜色の片道切符~

「美桜」



手を握ったまま美桜の横に体を投げた。ベッドのスプリングが軋む



「美桜」



右腕の怪我に触れないように、でも強く美桜の体を自分の方へ引き寄せた



「美桜。今は何も考えず休んで。元気になったらいくらでも話を聞くから」



泣くのも体力を使う。帰省していた間だって心も体も消耗したはずだ



「眠るまでこうしてるから」


心音が感じられるくらいの位置で美桜を抱きしめ、あやすように背中を一定のリズムで叩く



不規則だった呼吸が荒いながらも段々一定になっていった。




腕の中で眠っていることを確認し、ホッと息を吐いた



「美桜」



まだ熱い額にそっと唇を寄せた