「あ、似合うなって思って」



「何ソレ」



理央は美桜の隣に座わると、カップを手渡した。



「ホットミルク。電車で冷えたんだろ」



「ありがとう」



息を吹きかけ、湯気のたつカップに口をつけた。温かさがじんわりと冷えた体に浸透していく



「性格なのはわかるけど、ちゃんと自分の限界考えて」



「……うん」



何か心配かけてばかり



「美桜?」



静かな空間のせいか、その音はやけに大きく聞こえた



「電話?」



足元の鞄から携帯を取り出し、表示を確認すると思わず身構えてしまった。



以前の履歴がいつか思い出せない。嫌な予感しかしない



「もしもし」



「美桜!!」


電話を切った後も頭は真っ白のまま。


「ど、どうしよ」



「美桜、1回深呼吸。何があった」



言われたまま1回大きく息を吸い込み吐き出す。



「ゆ、百合子が危篤だって……わ、私」



「帰るんだろ?」



「うん」



「駅まで送るから、美桜のマンション行くぞ」



それから先はあんまり記憶がない。言われるままに荷物を準備して、気がついたら新幹線のホームに立っていた



「気をつけて」


「うん」




発車のベルが鳴り、扉が閉まる。到着までの数時間が地獄のように感じられた。