出ていく理央君の背中を見送ると、素早く立ち上がる。

今しかない。まだ少し痛む腕を庇いながら荷物をまとめていく。


ごめんなさい


渡されていた合鍵をポストに入れ、タクシーを拾った。



ビルの中に入ると履歴の1番上にある番号を押した。


涙が溢れ出してくる。


「……美桜ちゃん?」


「……」


まだ声はでなくて


「どこ……うちの1階ね。すぐ行くから動かないで」


聞こえた周りの声で電話の向こうの相手は気がついてくれた。


数分でパンプスの音が聞こえてきた


「美桜ちゃん」


佐々木さんの姿に、涙は限界を超えた。


「こっち」



佐々木さんに手を引かれよく使う会議室へと連れて行かれた


「泣きたいだけ泣いて良いからね」