ミーンミンミンミン…。。

私はイライラしながら蝉の声を聞いていた。

はぁ…とため息をついて黒板から、

窓へと目をそらす。

八月下旬、ひたすら暑い〝夏〟が

私は嫌いだった。

風も吹いてない、雲ひとつない青空。

窓から広がった世界は見慣れた風景。

何一つ面白い事なんかない。

それなのに、ただでさえイライラしてた中夏とは関係なく私を苛立せるものがあった。

隣の席へ睨みつけるように 私の苛立ちの原因を見た。。

黒色の綺麗な髪をした少年、
しかもクラスで人気の美青年だ。

先生が黒板に書いた文字を丁寧にノートにまとめていた。

はたから見たら頭もよくしかも恰好いい。

先生なんかそっちのけで見惚れる女の子もいる。

私が彼にムカついている理由。

それは…、一昨日席替えした時の事

------。

「ー…とゆうことで席替えを終わって授業に戻りまーす」

まだ、二十後半の若い女の先生がにこにこしながら私達から背を向けて授業を再開した。

その時、私は幸せな気持ちでいっぱいだった。

隣の席に居るのはサッカー部キャプテンで学年で一番頭がいい佐易優が座っているのだ。

恥ずかしながら私の憧れの人だ。

恰好いいし皆にも優しい…。

彼の行動1つ1つに見惚れてしまう。

じーぃ…と熱の篭った目で佐易くんを見てると、そんな私に気付いた私に
佐易くんは

「よろしくね、木之田さん。」

王子様スマイルとはこのことだろう。

優しそうに目を細める佐易くんに

私は、うなづく事しか出来なかった。