「好き。奏好き」
ずっと好きだった。
こっちを見て欲しかった。
誰かの隣で笑ってるのを見るのは、辛くて苦しくて。
こんな風に、抱きしめられているのが、嘘みたい。
「――俺、やっと分かった。深雪の事が、本当に好きだってさ」
奏に抱きしめられている。
ずっと望んでいた幸せのはず。
なのに私の心の片隅には、ちくちくと棘が残る。
幸せなのに、痛む。
私と奏が結ばれたら、――太一は離れていっちゃうんじゃないかって不安が。
不安が私を襲う。
昨日と今日で、気持ちが変わった奏を、受け止めるのにも複雑なのは本当だ。
恋って苦しい。
伝えた瞬間、幸せに包まれると思っていたのに、後から後から不安の種が襲ってくる。
本当に私は、手に入れられたのかな?
私は今、何を抱きしめているんだろう。



