裏門の今は使われていない焼却炉の前に差しかかった時、腕を捕まえられた。
それを振りほどきたくて、何度も何度も本で叩く。
「痛いって、深雪」
「――信じらんない」
再び振りあげた手を、止められた。
「何でそんなに簡単に言えちゃうの?」
涙が溢れてくる。
奏は知らない。伝えてないから私の気持ちなんて確かに知らない。
でも、色んな女の子と付き合う度に、
彼女のイニシャル入れてアドレスにしたり、
見せびらかすように一緒に帰ったり、
彼女へのプレゼントのアドバイスを私に聞いたり。
簡単に別れて、簡単に好きになって、
その度に私の心は見苦しく泣いていたのに。
はなから眼中にないと言っているような扱いが、
昨日の今日でこんな風に変わったら、
私の気持ちも簡単に扱われたようで苦しい。
言えなかったのは、私たちを誤解してたとしても、
誰かと付き合うたびに私は太一に慰めてもらっていた。



