【完】3ポイント・ホームラン!~夏空の下、貴方に伝えたい~







次の日は、五限までのほとんどの授業がテスト前で自習になった。

野球部みたいに地区予選や中体連が近い部活の子たちは、自習中に宿題をすると、放課後は部活。

テストギリギリまで部活をするらしい。

それに比べてバスケ部はテストが終わるまで筋トレのみだから緩すぎて私なら物足りない。


「すっご。抜き打ちの小テスト、満点じゃん」

放課後、唯にテストを奪われて慌てて隠したけれど、時すでに遅し。

唯一自習を前に小テストをした凛ちゃん先生の小テストは満点だったし、これからも何問かテスト問題を出すらしいから嬉しいけど。


「ちょっと考えたくない事があってさ、昨日永遠と単語を覚えてたおかげだよ」


結局何だか胸がチクチクするから、勉強して頭の中に隙間を作らないようにしただけ。


「悩み事があってもテストは良いとか羨ましすぎだし」


「あはは、直結しないからまだマシなのかな」


でも……。

何が苦しいのかもまだ分からないこの状況はちょっと苦しい。

「図書館行ってくる。唯は?」

「へ。行かないよ、何で?」

「今日の小テストの長文は有名な外国の小説で、日本語に訳した本があるはずだよ。それ読めば訳とか問題とか楽だよ」
「あんた、本当に真面目だよね。私は選択問題には強いから大丈夫だよ」
面倒臭がりな唯は、ひらひらと手を上げて帰って行った。
待ってくれていてもいいのにと思いつつ靴箱の前を通って図書館に向かうと、退屈そうに座って待っている奏が居た。
「お、来た」
「何してんの」
よっと立ち上がると、奏は私の傍まで歩いて来てカバンをくいくい引っ張った。
「――お前を待ってたんだよ」
なっ
何で?
今日はちゃんと普通通り頑張ったのに!
「一緒に帰ろう」
そう言われて断れるわけはもちろんなくて……。
「いいよ。図書館寄るから待ってて」
意識しないようにそう言ったのに、奏はピタリと離れない。
「俺も着いてく」