太一の家では、リビングで美緒ちゃんがテスト勉強をしていた。
私の泣き顔に驚きながらも空気を読んで何も言わずに自室へ入って行ってくれた。
「ごめん、野菜ジュースしかないや」
缶ジュースを持ってきてくれた太一は、自分はベットに座り、私を勉強机の椅子へと座らせてくれた。
太一の部屋は、奏とは違い、整理整頓されて、本棚にはトロフィーやメダルが置かれている。
それに対して奏の部屋は散らかって、本棚には漫画しかないんだから。
そんな悪態も今日は声には出せない。
「……」
言うまでもなく、実は既に失恋していた私に慰めの言葉を探しているのかもしれない。
けれど、私も何も話す気になれなくて渡された缶ジュースばかりを眺めていた。
そんな沈黙を破ったのは、太一だった。
「あのさ、まだ深雪は直接振られたわけじゃないよね」
「……ほとんど決まったようなもんだもん」
太一は瞳を閉じて、一気に息を吸い込む。
何かを決意したような、重い、息を。
「俺のせいだよ。あの、中学での最後の試合で」
「?」
「奏が深雪を抱えようとして俺が奪ったんだ。本当は、奏が深雪を助けたんだ」



