【完】3ポイント・ホームラン!~夏空の下、貴方に伝えたい~




何で――……。


奏の顔が目に浮かぶと、また視界がぐらりと揺れた。


「大丈夫、何でも、ない」

「なんでもなくないだろ?」

心配そうに顔を覗きこまれたら、もう止まらなかった。

太一は、優しくてふんわりと包み込んでくれるような温かさがある。

甘えたらダメなのに。

私が、甘えると、椎田さんみたいに傷つく人が増えるだけ。

なのに、私の手は、私の意志を無視して太一の服を掴む。

縋る。



「奏が、私と太一が中学の時に付き合ってたと思ってたって」

「――うん」


「中学の時点で私は、奏の眼中になかっ――」


言葉に出してみると、思ったよりも現実的に思えてしまった。

自分の言葉が、私自身をえぐっていく。

突き刺さる。


「深雪、おいで」


よしよしと頭を撫でられて、私は太一の胸に顔を埋めた。

汗の匂いが、太一の体温を運んでくれて、包まれているような安心した気持ちになる。



「ごめんね。いっぱい応援してくれたのに」

「……ちょっと、家で話さないか?」


他の高校や中学生、犬の散歩するおばさんなどに注目されて気まずげにそう言うと、私の手を引っ張った。