涙が溢れるこれは、何だろう。
椎田さんみたいに頑張ったり、足掻く前から、私の失恋は決まっていたんだ。
ずっと、奏の綺麗なフォームや、優しい笑顔に憧れてたのに。
隣に居れたらいいなって。
――それ以上は望んだことなんてなかったのに。
でも、奏は私が太一と付き合っていても平気なんだ。
「――深雪?」
腕を掴まれて振りかえると、――太一だった。
ランニング中だったのか、黒いシャツは汗でびっしょりだ。
「どうした?」
私の涙に気づくと、すぐに首から下げているタオルで拭こうとして、止めた。
その行動に和みつつも、私は小さく頭を下げると、涙を拭く。
「椎田さんに会ったよ。黙ってて、――守ってくれようとしてありがとう。
でも彼女はもう私は気にしてないから大丈夫」
「えっ」
面食らった顔をしつつも、直ぐにいつもの顔に戻った。
「何も言われてない?」
「うん」
「じゃあ、何で泣いてるの?」



