「何だよ! 素直な深雪気持ち悪いなっ」
「気持ち悪いって何を!」
「えい!」
奏が私の髪をぐしゃぐしゃにしてきた。
校門のちょっと前で、私と奏は逃げたり髪をいじったりとふざけあっていたら、視線を感じた。
「崎谷 深雪さん」
「?」
校門の外から此方を覗いて私の名前を呼ぶ人?
浜松高校の制服を着た、日本人形みたいな長い黒髪の女の子が、背筋をピンっと伸ばし、緊張した顔で私を見ている。
私も奏も返事もせずにその子を見ていたら、苛立ったように一歩踏みだすと、思いっきり睨みつけられた。
「私を覚えてる?」
「誰?」
助けを求めて奏を見たが、首を振るだけで知らないみたい。
「バスケの試合で貴方に怪我を負わせたんだけど、覚えてないの?」
「全く……」
さっき奏に言われたばかりだけど、本人を前にしてもやっぱり分からない。
「でも謝ってもらったしもう気にしてないよ。どうしたの?」
「今、私は野球部のマネージャーをしているんだけど」
そう言った後、周りを見渡す。



