「もういい」
「深雪、あのさ、太一は」
「ごめん。用事思い出したし足ももう痛くないから、二人で帰って」
私の明らかな不機嫌オーラに、奏は慌てているけど、太一は私の方を振り向かなかった。
それが益々、私を傷つける。
久しぶりに太一に会えて嬉しかった私がバカみたい。
籠から自分のカバンを取ると、反対側の道へ渡る。
「奏、着いてこないでよ」
弁解もせず、背中だけ見せる太一からは、私への強い拒絶が見て取れる。
そんなに私に見られたくなかったら、インタビューなんて受けなきゃよかったのに。
プレッシャーだか何だか知らないけど、私にまでそんな態度ってどうなのよ。
闇雲に歩いたせいでか、偶然か、目の前には小さな花屋が見える。
道路を一個向こうに渡るだけで、こんな可愛いお店があるなんて知らなかった。
ぬいぐるみがあちこちに飾られた店内には、サボテンから切り花まで種類がいっぱいあるのが見えた。
――見えたのに。
なんだか入る気持ちになれなかった。



