「お前、足が痛いんだって?」
「ほえ!?」
今日は体育館が使えなくて、ランニングだけで早めに帰れる日だったのだけど、部室から出ると、奏が待っていた。
私を見るなり、漫画をカバンに入れて、腕を引っ張る。
「唯から聞いたよ。間接、痛むんなら無理すんなよ。送る」
そう言ってカバンを奪われると、持って来ていたらしい自転車の籠に入れる。
唯の馬鹿。いきなり、そんな展開に持ち込まないでよ。
そう困りながらも、
奏のカバンと一緒に自分のカバンも入っているのを見ると、なんだかお揃いみたいでくすぐったい。
「昨日、太一が親と喧嘩してたぞ」
「え!? 珍しい。奏じゃあるまいし」
後ろに座って、奏の背中に隠れながらも、あの無口な太一には信じられなかった。
「なんか大学の推薦と、企業からのスカウトが両方来ててさ、揉めてたぞ」
「……そうなんだ」
太一は大学に進むかと思っていたけど、そっか。企業に入って野球を続けたり、結果次第ではプロからスカウトされたりするのか。



