「あんたならあり得るからあんなに騒がれるんだよね」
さっきの話を思い出しながら、唯はケラケラと笑う。
昼休みになったら奏が、自分が太一と交換したんだと自慢を始めていたから、やっと解放された気分だけど、本当に噂って面倒くさい。
甲子園決定と注目されてるからその話ばかりが聞こえてきて、お弁当が美味しくなくなるから、唯を誘って、外のベンチで弁当を広げた。
唯は紙パックの苺牛乳を飲みながら、メロンパンと焼きそばパンとカレーパンという異色の面々を食べていく。
部活以外では眼鏡をかけているせいか、真面目で大人しく見えるのに唯は本当に笑い上戸の大食いのなかなか不思議っ子ちゃんな気がする。
「ほら、大会最後の試合でさ、あんた転倒させられたじゃん」
「うん。元から膝は痛めてたけど、あれが決定打になったよね」
「あの時の、太一くんと奏人、格好良かったんだから! 太一くんなんて、客席の塀をひょいっと飛び越えてさ、奏人も太一くんの声で、挨拶もまだなのに深雪の居る所へ走って行って」
「ちょっと待って、それ以上は言わないで」
恥ずかしくて思い出したくない。
太一にお姫様だっこされたから、しばらく学校であの二人は付き合ってるとか噂になって、なんか、こう、居心地が悪かった甘酸っぱい記憶しかないし。



