両手を、強くグーの形で握りしめながら、叫ぶ。
私を信じて贈り出してくれた奏の為にも。
「大切だから。ずっとずっと大切だから。一緒に乗り越えたいから。
でも、奏は太一と違って馬鹿なの。ふらふらしちゃうの。
――――だから私、奏の所に戻るね」
「あはは。俺が負けそうだったから乗り込んでくれただけが。
まぁ、わかってたけどさ」
太一は私の頭を引き寄せると、強く強く抱きしめた。
「―――うん。ちゃんと奏の首に縄を付けててやれよ。深雪しか出来ないんだから」
「太一。―――好きだよ。苦しいよ。……苦しい」
「そんな事言ってたら、奏から奪うぞ?」
太一に頭をこつんと叩かれて、抱きしめられていた身体を離された。
「早く、行ってやれよ。泣いてるぞ、奏」
「あはは。うん。
甲子園、奏と二人で堂々と一番前の席で応援するからね」
私がそう笑うと、太一は爆笑した。



