泣きやまない私の涙を、奏は黙って拭いてくれた。
こっそり家から濡れたタオルを持って来てくれて、それで目を覆う。
奏は優しい。私の考えを、さっき全て見てしまったのに。
私の最低な考えを。
――――好き。
形も色も選べない。二人が好き。
そしてその結果が二人を傷つけた。
奏の家の庭で私は、奏がバスケットボールで子ども用のゴールにシュートするのをずっと見ていた。
もうずいぶん使っていないのに、フェンスにつけられたまま雨に打たれているゴール。
ずぼらな奏のお母さんらしいけど、私たちもそこにあるのが景色に埋め込まれた必然の用で、気にも留めていなかった。
――――当たり前だと、通りすぎていたんだ。
奏の身長より低いゴールにダンクを決める姿は、なんだかおおきくて――――私の知らない奏の後ろ姿だった。
「落ちついてきたか?」
「うん」
「謝らなくていいから、俺だって黙ってた太一だって、……まあ皆悪いわけじゃないと、思おーぜ」
「うん」
「俺は悪くない。ほら、深雪も『私は悪くない』。リピートアフタヌーン」
「リピートアフタミ―だよ」



