「私、最低。太一の気持ち、利用して……」
「利用じゃない。太一の事も好きだから、離れたくなかったから、深雪は気づかないフリ、してたんじゃない?」
「奏」
「図星だろ?」
奏が寂しげに笑った。
その顔が哀しいぐらい、愛しい。
切ない。
抱きしめたいぐらい、迷子の子犬みたいな泣きそうな顔をしている。
「やっぱさ、ずっと3人幼馴染でいるのは無理だったんだよ」
「そんな事、言わないで」
「だって、深雪は俺らにこんなに優しいし、好きって前面に出して接してくれるだろ?
意識しないで子どのもまま、傍に居るのはもう無理」
やっと手を離してくれたと思ったら、優しく涙を拭いてくれた。
自分だって泣きそうなのに。
でも今は私には、奏を抱きしめて安心させてあげる資格がないように感じて動けずにいた。



