本当はこんなこと言いたくなかった。
椎田さんを傷つけるって分かってた。分かっていたのに、止まらなかった。
「帰って。太一を責めるのは違うよ。頭を冷まして」
泣いている椎田さんに、胸が痛む。
謝りたかった。でも、それでも、私は幼馴染の地位を守りたかったんだ。
「これ、お守り出来たから。もう破れないよ」
「深雪……」
「頑張ってね」
笑えたかな? にっこり上手く笑えたかな?
その笑顔を崩さないまま、私は家へと向かう。
「深雪!」
なのに、太一は腕を離してくれなくて。
地面に紙袋が音を立てて落ちていく。
「――私、最低だ」
酷い。二人は椎田さんを責めていたけど、私はもっと酷い。
「手、離して」
こんな可愛くない、醜い顔、見られたくないの。
お願い、見ないで。
バタバタと、椎田さんが去って行く足音だけが無残にも響いて行く。



