「崎谷さんになんでそんなに義理立てするの? やっと奏君と付き合って解放されたのに」
「だから、深雪は関係ないって」
ドクン
胸が張り裂けそうな、この先は聞いてはいけないような、そんな焦りが私の全身を覆う。
なのに私は身体が動けない。
聞きたく、ない。
聞きたくない、のに。
「でも、好きなんでしょ?」
聞きたく――……。
聞きたくなんてなかった。なかったのに。
「止めて……」
気づいたら、私は小さく呟いていた。
「止めて!」
私の言葉に二人は振り返る。
痺れる体を、引きずるように二人の前に歩いて行く。
怖くて太一の顔が見れなかった。
「試合前の太一に、そんな話止めて。それでもマネージャーなの?」
違う。私は今、正論を振りかざし、真実から逃げようとしていた。
椎田さんも唇を噛み締める。
「今は、貴方の気持ちを押しつけるのは、違うんじゃないかな」



