「何処に行くの?」
フライパンでチキンライスを炒めながら、お母さんに言われた。
「美緒ちゃんのとこ」
スリッパをひっかけながら答えると、ゆっくりと玄関のドアを開けた。
「~~!?」
「――だから」
太一の家の前で揉めている声、――喧嘩?
目を凝らしてよく見てみると、椎田さんと太一だった。
今の今まで出かけていたのかな。
興奮気味の椎田さんを宥めているようで、太一は困惑していたけど、はっきりと聞こえてきたのは辛辣な言葉だった。
「俺は、たとえ深雪のお守りを断ったとしても、君のだけは貰えないよ」
「何で?」
「本気で告白してきた君に、期待はさせたくないから」
トーンはいつも通りの太一だった。でも、真摯に向き合っている。
昼間の奏は、腕を絡ませながらカラオケに入っていたのに。
太一は真面目すぎる。
――二人のどちらの行動も私の胸が痛むのは、自分でも意味が分からないけれど。



