「何で貴方が迎えに来るのよ」
案の上、椎田さんは不機嫌だった。
そんな素直な彼女が凄く羨ましいけど、にっこり笑って聞いた。
「私が嫌いだから怪我させたかった?」
「は?」
「だってそんな顔してるよ」
クスクスと笑ってしまったら、顔を真っ赤にして持っていたハンカチを投げつけられた。
「そうやって余裕ぶってるのが嫌いなの!」
「うん。自信がない自分が嫌だったから自信を持ってみたの」
「あんたなんか、ただの幼馴染じゃなかったら私と同じよ。太一君に見向きもされないんだから」
ポロポロ涙を流す彼女は、一体いつから太一が好きだったんだろう。
あんな反則までして勝ちたかったバスケを辞めて、太一と甲子園を目指す為にずっと隣にいたのかもしれない。
「うん。その通りだよ。だから私はこの位置が壊れるのが怖かったの」
「だから、太一くんに相談するふりをして繋ぎとめて、奏くんには思いも告げずに片思いし続けて。私から見たら貴方の方が卑怯でずるくて嫌な人なのに!」



