「私は本当に気にしないから、ね」
「うん。そう言うと思ってたよ。だからずっと黙ってたのに」
は――っと重々しいため息を吐くと、太一と私はベンチに座った。
「彼女からお守りを貰ったのも本当。受け取らなかったけど」
「うん」
「俺だって、バスケしてる深雪を知ってたから複雑だったよ。気にしないようにしてたけど。俺達ってもうさ、一緒に居すぎたから、つい自分のことのように胸が痛むんだよ」
太一はやっぱり優しい。
私に見に来るなって彼女と会わせなかったのは、自分の葛藤もあったからなんだね。
「それと彼女の気持ちに向き合わないのは違うって、苦労したんだね。ごめんね」
「――深雪はもう大丈夫なんだな?」
太一の目を見ながら、視界の端でジュースを持って帰って来る奏が見えた。
だから私は、なるべく穏やかな笑顔で答える。
「うん。私は、太一と奏の応援ができる今の位置が好きだよ。同じ立場ではなくても、二人のホームランも3ポイントシュートも、心から応援出来る」



