「私で良かったらするよ。ごめんね、不格好なお守りだったから」
「そんな事ない。作って貰ったんだからどんな形でも嬉しいよ」
太一の否定に、明らかに椎田さんは眉をしかめた。
「はは。あのお守りか。腰から飛び出したら怖いよな、確かなに」
うんうんと、奏がおちゃらけてくれたからなんとか場は誤魔化せたけど、ちょっとだけ不穏な空気が漂っていた。
「テスト前に悪いけど、土曜の試合までにお願いしたいんだ」
「じゃあ、明日は2教科だけだから今日やるね」
「当たり前でしょ! テストより、甲子園の方が大事なんだから!」
「――椎田さん」
太一がやんわりと諭すが、椎田さんの回りにはピリピリと張り詰めた空気が漂っている。
「こっちは真剣なの。テスト前にぱぱっと作られたお守りなんて失礼だわ。それだったら私が、…私が作ったのを受け取って欲しかった」
ついにはポロポロと泣きだしてしまい、私たちは慌ててお店から椎田さんを連れ出した。



