駅の二階にそのまま他愛ない話で上がり、
文房具店に入ると、意外な組み合わせの二人に出くわした。
「あ、太一とナントカさん」
空気を読まずに奏が名前を呼んでしまった。
太一と椎田さんが、ボタンや針などのコーナーに居た。
「テスト、お疲れ」
「まだ初日だろ」
太一が目を細めて笑う。
いつも通りの太一で、どこかホッとしてしまった。
「太一君、これ」
「――深雪が来たから、いいよ」
椎田さんの甘えた声に、やんわりとそう言って椎田さんが選んでいたものを元の位置にもどした。
「お守りの糸がほどけちゃって、中のミニ人形が見えるんだ」
「もっと、目立たない、ちゃんとしたお守り作りなさいよ! 遊びじゃなくてこっちは真面目に甲子園目指してるんだから」
「――椎田さん」
太一が口調を強めて注意した後、頭を掻いて私と奏を見た。
昨日、私がこっそり縫ったのを奏は知らないから、ちょっと太一は考えているようだった。



