ガラガラと窓を閉める音がする。
ヤバい。閉まられたら、玄関から帰らなきゃいけない。
「待って。今、深雪にプレゼント貰ってるから」
奏がそう言うと、啓は手を止めた。
「何だ。姉ちゃんたち、居たのか」
窓の向こうは弟。
カーテンを握りしまたままの私に、奏はいたずらっこみたいに笑う。
「早く、プレゼントちょうだい?」
可愛く強請るその顔が可愛い。
堪らなくカッコいい。
我慢なんて出来なかった。
ちゅっと頬に唇を押しあてて、窓枠に足を置いた。
「おやすみ!」
自分から唇なんて無理だったから、頬にした後に飛ぶように逃げた。