「その嘘で、深雪は太一を信じられない、とか裏切られた酷いわ!って思っちゃったの?」


「そんなつもりじゃないけど」

心にしこりができて、取れなくて、治らなくて、気持ち悪いんだ。


「あいつは、あんな奴だよ。俺らがくっつく為には色々心を揉んで、折って、気を使いすぎたんじゃねぇかな」

優しく笑う奏を見て、気づく。
そうだ。奏もそんな人だ。私を安心させようと笑うし、太一のフォローしようとわざとオチャらけてくれる。


太一の嘘は気になるけれど、しこりはまだ取れないけれど、今一番に優先するのは、私の為に太一をフォローした奏に喜んで貰う事だけ。


「奏、ありがとう」


23:59


笑顔の奏の手を握りしめた。


真夏だけれど夜は涼しく、奏の手もひんやりしていた。


握った手は段々と熱くなり、私の心臓の音が伝わりそうで、慌ててプレゼントを反対の手で胸に押し付けた。



「happybirthday。奏」


ピアス。
奏をイメージした自由な翼のピアス。



さっそく受け取った奏は、そのピアスを摘まむと夜空へ持ち上げた。



「やっべ。かっこいい!」