「あ、ごめん」
「?」
風呂上がりの私から視線を逸らすと、靴箱の上に奏へのプレゼントを置いて無言で帰って行った。
ごめん?
「あんた、そんな恰好でクーラー入れたら風邪引くからね」
お母さんもあきれ顔でキッチンからいう。
タンクトップに短パンって普段着だと思うんだけども?
着替え途中だとでも思ったのかな?
本当に真面目なんだから。
受け取った奏へのプレゼントを持ったまま、二階に上がる。
この不器用な所が太一らしい。
奏にプレゼントを渡す時間まで太一へのプレゼントを作ろう。
甲子園に連れて行ってもらう私の分身で、精一杯応援するんだ。
幼稚園の時に着ていたスモックをチョキチョキ切って、
メッセージと、この前辞書に挟んで押し花にしたオレンジ色の花を添えて。
チクチクと、一縫い一縫いしながら、考えるのは太一のこと。