「うわっ奏」
わざわざちょっと離れた駅ビルの中で買い物してたのに、なんで奏たちが居るの!?
明らかにカラオケ帰りなのか、皆テンションが高い。
「ふーん。深雪の用事って太一とのデートだったのか」
「で!? ――アンタ、そんな面白くない冗談で私たちを引き留めないでよ」
「べっつに――」
ニヤニヤと奏が笑っているのは、私たちが奏の誕生日プレゼントを買いに来てると察知したからだろう。
毎年恒例だから、すぐにバレちゃうんだから。
「ちょっとは太一を見習いなさいよ。チャラチャラチャラチャラしちゃって」
「は!? 俺みたいな好青年に向かって何を」
この減らず口、抓ってやりたい。
女子バスの子たちなんて、バスケ部部長で目立つ容姿で、ノリがいい奏を狙ってきている子はちらほら居るんだから!
さっさと彼女作っちゃえば私だって……。
私だって、奏以外を好きになれるのかな?



