「ねぇねぇ、ししょ〜」
舌足らずな声で少女は自分の手を引く師に問う。
なんだい?
師は立ち止まり問い返す。
「あれはなに〜?」
と、少女が指さした先には少女が生まれる前、いや師が生まれる前から存在しているモノがある。
それは山よりも遙か上空に存在する大きな島、その島からは地上へと長い道が掛かっている。
あれはこの大陸に掛けられた呪いの象徴だ。
師はその美しい顔を歪めながら少女の頭を撫でた。
いつかお前はあそこに登らなければならない日が来るだろう。その時お前は一人では抱えきれないほど大きなものを背負わされるだろう。でもお前ならば大丈夫だとアタシは思っている。なんて言ってもこのアタシの弟子なんだから。
まるで未来が見えているかのように師は語る。
「よくわからないよ、ししょ〜」
幼すぎる少女は師の言葉に困惑するばかり、そんな少女の頭を撫でながら
今はいいさ、その時が来た時に思い出しておくれ。
と師は苦笑しながら少女にコトバを掛け、再び二つの影は歩き出した。