「よし、完成です!
可愛らしいですよ。」

そこでグルグルと回っていたアリシアの思考がふと我に戻された。

綺麗に髪は整えられ、緩くウェーブした毛先が肩にまで流れていた。
「ありがとうございます。」

「私のことをまだ申し上げていませんでしたね。私の名はジュリア、13歳です。
ここエストリアの宮廷にお仕えさせていただいている女官です。
あなたのお名前は?
どこに住んでいるのですか?」
「あ…アリシアです。
えと、14歳です。
………あの。」

言葉に詰まったのをみてジュリアは首を傾げた

「……ごめんなさい。
 …思い出せないんです。」

「え……」
″コンコンッ″
そこで部屋の扉を叩く音がした。