一人の人物が堂々と部屋の中に入ってきた。

アリシア自身の部屋ではないとはいえ
今は仮にも使わせてもらっている場所に勝手に入られ物色されるのはけしていい気分ではない

それを言う権利すらないのは十分わかっているけれど…

「あら、随分とすてきな部屋にいるのね。
服まで整えてもらって……
本来ならば薄汚いぼろ雑巾を纏っているような者でしょう?」

アリシアをまるで商品を品定めする時のように見下ろす。

この状況のとおり爵位も権位も何もないアリシアのことを見下している。
目は鋭く、暗く光っている瞳でこちらを睨みつけていた。