涼しげな春の風が窓から入ってきては明るい室内を自由に巡ってゆく。
アリシアとジュリアは椅子に腰掛けて髪をなびかせながらゆっくりとした午後の一時を過ごしていた。
年の近い者同士で会話に花を咲かせているとふと耳に聞こえた部屋をノックする音に二人の話は遮られた。
″コンコンッ…″
続けてまた2回、せき立てられるように扉がなる。
ルキア様が訪ねて来られるにしてはいかばかりか時間が早い。
彼はまだ忙しい公務の時間だろう。
ジュリアがアリシアの方を見ると顔にはすでに不安の色を浮かべていた。
ルキア様が来られた時の表情とは明らかに違う

…扉を叩いたのがルキア様でないことに気がついているのだろう。
「ちょっと見てきますね」
椅子から離れ微かな不安を抱きながら部屋の出入り口へと足を進めた。
「…どなたでしょうか?」
「エリシャよ、今すぐこの扉を開けなさい。」
部屋の向こうから聞こえる声にジュリアは顔を曇らせた。