「わぁ…」
アリシアは思わず言葉を発していた。

両側に開いた扉の先に広がっていたのは
赤やオレンジ、水色など
思い思いの色で身を着飾った花たちだった。

宮廷にこんな室内庭園があるとは思っもみなかった。
花壇に土はなく、半透明で青色をしたビー玉のようなものが変わりに敷き詰められていた。
その下を流れる水の音以外は静かな静寂に包まれている。

繊細な装飾の施された太い柱が数本、園内を取り囲み柱と柱の間は分厚いガラスで覆われていた。

そこから差し込む太陽の光が中を明るく照らすと共に、咲き誇る花びらをきらきらと輝かしけている。

ほのかな優しい花の香りは身体のすみずみにまで行き渡り、気張っていたアリシアを落ち着かせた。

アリシアは時を忘れゆっくりと園内を周り
咲いている花の色や香りを楽しんだ。

少し離れたところでその様子をみていたルキアは今まで誰にも向けたことのないような柔らかな顔をしていたのだが、本人も花に見入っていたアリシアもそのことには気づかなかった。