家から出て、駅に着くまでの道のり。


俺は、この間に見かけた猫の数を数えることにはまっている。


近くに猫屋敷があるから、このあたりは猫が多い。


でも最近、野良犬がうろついてるせいで猫達にはなかなかお目にかかれない。


そんな感じだったから、少しばかなことをしてみようと思ってしまった。


[今日最初に見つけた猫はラッキー猫ってことで、出てきたら写メって待受にする感じに決定!]


スマホのカメラを起動しながらつぶやいて、そのへんを見回してみる。


「・・・ん、トン♪ トントンッ、トン♪」


[・・・・・・はい?]


なんか聞き慣れた声があほな歌うたってるっぽい感じなんですけど。


いや、でも。


いくらゆるゆるふわふわなあの人でもこんなあほな歌うたいながらスキップして通学なんてするわけない・・・・・・


するわけない・・・・・・


するわけ・・・・・・


「あ、やあ二年生くん。おはよう」


その呼びかたはやっぱり・・・


[おはようございますって感じですね、柊先輩・・・。あと、人のこと学年で呼ばないでくださいって感じです]


「うん、ごめんね。でも、それを言うなら君だって。って感じ。っていうの直した方がいいよ?」


[・・・はーいって感じです]


ていうか、柊先輩ゆるふわ過ぎ!


外見は制服とかスタイリッシュに校則違反してるカリスマヤンキーなくせに、スキップで通学とかちょっとありえない感じなんですけど!?


[先輩、なんかいいことあったんすか?]


「ん? まあね」