ケイトくんの後ろ姿が見えなくなって
家に入ると携帯が鳴った
画面を見るとナナだった
出ようと思ってボタンを押す手を
引っ込めた
玄関で電話なんかすると
リビングに聞こえる
あたしはそのまま自分の部屋に向かってから
電話に出た
「もうなんですぐ出ないの?!まさかケイトくんとあのままイチャラブ…
「ややややってないよ!!!!!」
なんとなくナナから聞かれることはわかってはいたけど、
実際にさっきまであったことを思い出すとやっぱり動揺してしまう
「いつもにしては出るの遅かったじゃな〜い?今、家?」
「そう家!今着いたばっかで……」
「…そう、おばさん……家にはいるんでしょ?」
「いるよ、たぶん」
「…………」
ナナの、言いたいことはわかってる
家に家族がいるのかどうかも把握してないなんて
ただいまも言わずに自分の部屋に向かうなんて
おかしい

