学校に着いた時には、卒業式は始まっていて、、、


人、1人いない。


「あれ、体育館に行くんじゃないの?」


体育館への案内標識を見て、体育館とは逆方向に歩くあたしに一喜が言う。


「ちょっと、教室に寄りたい」


それに一喜は不思議そうな顔をしたけど、あたしの後を付いて来てくれた。


少し上がる息を整えながら、教室のドアを開ける。


黒板に、”卒業、おめでとう”と、書かれた文字。


それを見て、本当に生徒たちは卒業してしまう。


改めて、シミジミと実感した。


そして黒板の前にたち、チョークを手に取る。


「ふ~」


一息つき、あたしは手にしたチョークで、文字を刻む。