「雫月は、頑固だからね?あたしが折れてあげなきゃ、無理するだろうし」


そんな一喜の言葉に、あたしは苦笑いをすることしか出来なかった。


「でも卒業式の日までは、安静してなさいよ」

「わかってるよ」

「本当に、わかってるのかねぇ?」


そんな疑いの瞳を一喜は向けてきたが、あたしは満面の笑みで布団の中へと潜った。


そして、、、


あたしは、一喜との約束をちゃんと守った。


熱が上がるかもしれないと言われたが、一喜が心配するような高熱にはならなかった。


卒業式、当日。


あたしは今か、今かと、、、


一喜が、病室にやって来るのを待っていた。


「ごめん。遅くなって」

「遅いよ!!」


9時から卒業式が始めるというのに、8時50分に姿を現した一喜に文句を言う。