あたしの言葉に、隼人は少しだけ冷静になる。


「俺は、ガキじゃねぇよ」


最後の悪あがきとでも言うような、小さな声で反抗する。


「はいはい。今は教師だもんね~」


あたしは隼人のことを逆なでするような、言い方をする。


「まぁ。どちらかと言ったら、少しは隼人の方が大人かもね」


なんて、自分の言葉にフォローを入れた。


「この学校の生徒たちは、みんなあんな感じよ?教師を敵だと思ってる」


それはHRで、隼人自身も察しはついているだろう。


「そんな生徒たちと向き合うのは、簡単なことじゃない。大学で習ってきたことなんて、何の意味もない。それでも、自分でこの学校を選んだんだから、最後まで逃げ出さないでよね?香川先生」


あたしは隼人の肩をポンッ。と叩き、授業の教材を片手に職員室を後にした。