「美緒、私、決めた!」

私は、コブシを握り締めて立ち上がった。

「バイトではヲタク属性を、隠すよ!!」

もう、これっきゃない。レンタル店で、禁ヲタなんて、世の中のヘビースモーカーが、禁煙することより、はるかに厳しい。

「はいはい、いっそ催眠術でも受ければー?」

美緒はそっけない態度。っていうか、冷たい!友人が初恋で苦しんでいるのに~。

「あ、そうそう!助っ人の話だけど。」

「あ、そういえば!どうなったの?」

「とりあえず、勧誘成功!私のバイトの子なんだけどさ、高校までは美術部に所属していて、漫画も多少は経験あるらしいよ。」

って、美緒がバイトに入ったのって、確か一ヶ月前くらいでなかったっけ・・・。なんていう交渉力。

「うぅ、美緒は社交性あるなぁ。っていうか、実は私以外に山ほど友達いるんでしょ~。」

「ま、まぁねー。サークルにも顔出しているし・・・。バイトもね。けど、なんていうかなぁ。あんまり面白いやついないんだよね。」

「そ、そうなの?」

「そうそう、やっぱりねー。こうネタになるくらいの友達じゃなきゃ!その中でもあんたって、ダイヤモンドみたいな友達だよ。」

そ、それって、どうよ?ほめ言葉?

「うれしい様な。悲しいような。単なる私は、ネタキャラかっていうか。」

「とにかく、今度の土曜日にでも、カンナも都合よさそうだし、交流もかねて3人で遊びにでも行こうか!」

しかし、このとき私は(いや、おそらく美緒すらも)この新キャラの想定外ですレベルのアビリティーを知る由もなかった・・・。