何を思ったのか、一歩男がこちらに近づいてきた。
な、なに?反射的に俺も一歩後ずさる。
また男が前にでて、俺がすかさず同じ分下がる
両者の距離は縮まぬまま、それが数回繰り返されたとき、
「何で逃げんの」
呆れたように溜息を吐かれた。
まるで俺がおかしな事をしているみたいな言いように腹が立つ。
吐きたいのは俺なんだよ!
「い、いや…何でって言われても。つうか、何で近づいてくるんですか、怖いです」
また距離を縮められ、逃げるように後ろに下がったとき、
男が両手を上げて、その進みを止めた
今度は何だと訝しげに見る
男は一言、
「面白かったから」
のほほーんとした声で言わた上に、
反省の陰が全く見えない。
な、なんなんだコイツは……
なんとも言えない疲れを感じたその時、
「速水!困らせでないで!謝って!」
みゆが男をにらみ、非難の声を上げる。
男がつまらなそうな顔をした。


