気まずい沈黙が流れる。いや、気まずいと思っているのは俺だけかもしれない。
みゆは首をかしげ俺を見てたが、飽きたのか着ているワンピースの裾をいじり始めた。
その様子には緊張感も何もない。
えっと、どうすればいいんだ
「あー家にいないってこと?」
「家ってなぁに?」
…そこからか。親が何も教えてないんだな
これからどうしようと、思案を巡らせると、
あ。思いついたようにみゆが声を上げた。
「ずっと一緒にいる人ならいるよ!」
「え?」
なんだ、家族いるじゃん。「どんな人?」聞くと、その人の事を聞かれたのがよほど嬉しかったのか、みゆはパァと顔を輝かせた。
こんな顔もできるんだ。ホッとした気持ちでみゆの言葉を待つ。
「さっきのお兄ちゃん!」
え。また言葉に詰まった。
さっきのって………
ぼわぁんと浮かぶ黒髪の男。その焦った声までも鮮明に頭によみがえった。
まじでか


