やばい、息切れとまんない
足も痛いし、距離見誤った……
あの子にも無理させちゃったな…これは
疲れているのだろうと俯いていた少女の顔を覗き込む。いかし、驚いたことにそこに疲労の文字は見受けられなかった。
顔色一つ変わっていない少女が不思議そうに俺を見つめてくる
嘘だろ…
「…えっと、大丈夫だった?」
「なにがぁ?」
初めて聞いた彼女の声は、とてもかわいらしいものだった。加え、その声に泣いていた先程までの面影が無く安心する。
「疲れてないかなぁって、お兄ちゃん飛ばしすぎちゃったから」
ごめんね。と謝る。
少女はふるふると首を振った。
「みゆ、疲れてないよ。みゆにはお兄ちゃんの方が辛そうに見えるよ」
…確かに、どう見ても俺のほうが無理してる様だよね。
てか、なんで平気なの
運動部に所属している自分がまさか少女に劣るとは恥ずかしい。俺は苦笑いをして、かがめていた腰を上げた。
「さて、みゆちゃんの家はどこかな?送ってあげるよ」
すると、みゆはまたキョトンとした顔になった。「家?」小さく呟いた。
「そう、お家。お母さんとかお父さんとかがいる所だよ」
「いないよ」
「そう、いない。お母さんお父さんが…………って、」
「え…?」
なんだって?


