ときには手を


だって、あの日高くんが

違ったらどうしよう

失敗したかなって

そういう顔、するんだもん

「あはは、ううん。違ってないよ」

ギュッと顔の側までねこちゃんを引き寄せて、笑った

「ありがとう」

不器用な優しさが、すごく嬉しくて

それなのに日高くんはそれに返事もせず

プイッと水やりに戻ってしまう

な、なんで

あ、もしかして調子乗りすぎた?

笑ったりして、怒っちゃった…とか?

「…名前」

オロオロする私になど気づかずに

やっぱり彼の口から出る言葉は

そんな単語だけだった