ときには手を


「なっ…え、」

「…ねこ」

「…え」

「ねこ、さわりたかったんでしょ」

私の顔に押し付けるようにして

ねこちゃんを渡してくれた日高くんに

少しフリーズした後

そういうことかとやっと理解した

私がさわれるようにってことね

それにしたって顔にのせるって…

もっとこう抱っこして

私に受け渡すとか

やりようがあったんじゃ…

「…違った?」

いつまでもねこちゃんを胸に抱いたまま

反応しない私に何を思ったのか

そんな言葉を口にする彼に

思わず少し笑ってしまった