ときには手を


ねこちゃんへと注いでいた目線を、少しずつ上げていく

靴、真っ黒いズボンをはいた長い足、白いシャツ

…私を訝しそうに見るするどい、目

「あ…」

ちーん。

何かが終わる音が私の頭の中に響いた



「コ、コンニチワ、日高くん」



シャー

ジョウロからでていく透明な水が

土のいろを変えていく

いつの間にか私の腕を逃れて

彼の足元にすり寄っているふわふわと

ジョウロを片手に無言で水をやり続ける日高くんを交互に見ていた