浮気男と俺様男






結局、ほとんど会話をすることもなく



篤稀くんの後ろを一歩下がるようにして歩いた



一緒に帰ってくれるわりには


少し素っ気ないな、とも思うけど


ちゃんと私の歩くペースに合わせて


篤稀くんもゆっくり歩いてくれていて



何気ない優しさがとても嬉しかった








そのとき…





ピタッと篤稀くんが足を止めた。





「どうしたの…?」




私も歩む足を止める。





「んなにちんたら後ろで歩いてねぇで、せめて隣こいよ。俺お前の家知らねぇんだから」




怒ってるわけではなく、


至って普通の表情でそう言われた。




確かに、


篤稀くんが私の家の場所を


知ってるわけないよね





「………」




隣を歩くなんてちょっと緊張するけど


私は何も言わず篤稀くんの隣を歩いた



もしかして…



家まで送ってくれるつもりなのかな?