秋の扇


「大丈夫だよ。私カツノリには感謝してるし。それに過去でしょう。」

私の言葉に安心したのか、意を決したようにカツノリは話し始めた。

「荒れてたよ。高校上がってすぐの頃は。」

「...どういう?」

「本気の恋とか。全然知らなかった。」

「..そか。」

「..父さんと母さん一気に失って。多分どうしたらいいかわかんなくて。勉強とか、色々むしゃくしゃしてた。」

カツノリは遠い目をしていた。